不測の事態にトライするからエネルギーが生まれる(長谷場亮祐)2/3


天草出身の先輩方にランチをご馳走になりながら
成功の秘訣を聞くコーナー
『先輩!ゴチになります!!』

第3回目はこの方にお話をお伺いしました。

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株式会社長谷場商事 代表取締役 長谷場亮祐さん

聞き手 天草元気プロジェクト 松村・佐伯
取材日 2008/4/16
取材場所 居酒屋「ひごの屋」外苑前店(港区南青山)

長谷場さんは牛深市出身で天草高校卒業後に上京。
起業後、青山を中心に居酒屋をチェーン展開なさっています。
現在の状況なども踏まえていろいろお聞きしました。

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不測の事態にトライするからエネルギーが生まれる(長谷場亮祐)2/3
不測の事態にトライするからエネルギーが生まれる(長谷場亮祐)3/3

お客様の満足や利益を最優先にすることを浸透させている

長谷場 本当に女房の一言に救われたんだよ。で5年だか6年だかやったときに女房は引っ込めた。

佐伯 もともとお酒を出すようなお店だったんですね。

長谷場 そうスナック。それをふくめて40年。青山で。それを10年間やった。

佐伯 それから居酒屋を?

長谷場 居酒屋というか、串焼き屋だね。その発端は、そのころというのは、 焼き鳥、串焼きというのは暖簾や赤提灯というイメージしかなかったんだ。 勤めているOLさんが入れる串焼き屋を作ろうと。

佐伯 スタートはそこから。

長谷場 今はたくさんあるけど、「女性の来ることができる焼き鳥屋」

佐伯 最初から女性のお客さんはいらしたんですか?

長谷場 来てくれた。ものすごくバカ当たりしたんだよ。

松村 それは最初のお店と同じ土地で?

長谷場 青山通りの向かい側に移った。

佐伯 今ある店舗がその場所になるんですか?

長谷場 そう。もう一つは、サラリーマンなどの勤めている人が、 仕事帰りに憩える店。

佐伯 今で言うと当たり前かもしれないですが。。。

長谷場 当たり前だね。そのときは、その店の数がとても少なかったんだよ。 あのころでいう1,800円くらいの居酒屋はたくさんあった。 あと、5,000円、8,000円、10,000円の店はたくさんあった。 ところが、僕の分析では、1,800円には学生も来る。 学生の賑わいと、勤め帰りの和みとは波長が違う。 だから学生をターゲットから外そうと。 勤めている人たちが同波長で和める店を作ろうとした。疲れを癒そうとした。

佐伯 それは長谷場さんがおいくつのときですか?

長谷場 37歳位かな?最初スナックをやってから10年たってからだね。

佐伯 ちょうど団塊の世代がほしがる店だったんですね。

長谷場 今67歳だから30年前だね。 勤めている人をターゲットにするために、平均単価を サラリーマンのポケットマネーの上限に設定して、3,000~3,500円にした。 気軽な金額という領域。 学生は予定通り来なくなった。

佐伯 なるほど。

長谷場 そういう店がほとんどなかった。今日は飲みたいが、 女性を連れてくるのに、赤提灯の居酒屋はちょっと、 でも高級になると連れて行くのもきつくなる。

佐伯 30年前にそこを狙ったわけですね。

長谷場 うちの店が成功して、某企業からフランチャイズの提案があって、 最初は断ったんだけど、熱心に来られたものだから口説かれてやった。 当時は「肥後ばっ天」という店。 8年間やって19店舗まで行った。

佐伯 店舗展開は関東が中心だったんですか?

長谷場 東京を中心に千葉までだね。 最初はうまく言って、某企業に専門の子会社ができた。 そこの社長が「長谷場さんはもう要らない」って言ってきた。(笑)

佐伯 うちでやりますってことですか?

長谷場 そういうことへのジレンマや苛立ちがあった。 各店の店長から内緒で聞いたんだ。 「うちの社長が行っていることは違うと思うのですが、 長谷場さんが顔を出すと社長の機嫌が悪くなるんですよ。」

佐伯 最初のコンセプトと違ってきたんですか?

長谷場 そう、言うことを聞いてくれなくなった。 それを見かねた女房が「もうやめた方がいいよ」と。

佐伯 また奥様の存在があるわけですね。

長谷場 それで某ビール会社の営業部長に相談に行った。 話の途中で「長谷場くん、それはやめだ」と言ってきた。 その某企業との間には「俺が立つから」といってくれて 縁を切ることになったんだよ。 そうしたら不思議なもので、3年間で19店舗はなくなったよ。

松村 その「肥後ばっ天」がうまくいかなかったのは長谷場さんから見ると 原因は何かあったのですか?

長谷場 サービス業としての誠心性が弱かったのかな? もう一つは出足がよすぎたのかもしれないね。 その某企業の社長に言ってたんだ。 「物販じゃないんです、サービス業なんです。」 ホスピタリティにこだわりがなくてね。 目先の問題では店は育たないんだけどね。 わかってもらえなかった。

松村 先ほどの3,500円のお客さんにもっと売るという感じですか?

長谷場 3,500円を売りながら5,000円を求めろといってるようなもんだよね。 単純な矛盾があるんだよ。オーナーサイドとの。

佐伯 確かにひずみが出ますね。 ところで、今は「ひごの屋」という名前になっていますが。

長谷場 それは某企業と縁を切るときに売らざるを得なかった。 それでいくらかの値段で商号を売ったんだ。

佐伯 もし今もフランチャイザーならロイヤリティが入ってきたわけですね。

長谷場 某企業をコントロールできる度量がなかったんだよ。 これは持論だけど、アルコールが絡む商売はホスピタリティが求められる。 そこでのフランチャイズはありえないね。

佐伯 ノウハウの共有はできないと。

長谷場 あえてフランチャイズが通用するなら、ファーストフード、ファミリーレストラン。

松村 酒を飲まないところですね。

長谷場 お酒がでるところでは各店舗のサービス、味などを維持するのは難しい。 サービス産業、飲食産業の宿命だね。 極端な拡大戦略は、人材やシステムが追いつかない。 以前「村さ来」「つぼ八」ってあったんだが最近聞かないでしょう。

松村 僕がこちらに来たときは全盛期でした!

長谷場 会社もがんばっていたんだろうけど、やはり困難があるということだね。 自分がこだわっているのは、利益を優先するとサービス産業の原点からずれていく。 一旗あげようとか、一儲けしようという意識が働いたら。 利益はお客さんが優先だから。どれだけ喜んでもらえるか? それを最優先に考えて、営業内容に徹底できるかどうか? お客さんはプレッシャーから解放されたくてのみに来ている。 たとえば「もう一杯いかがですか?」はうちの店では言わないだろう? そこを徹底させている。 熱心なアルバイトほど勧めたりするでしょう? それが余計押し付けになる。

松村 リラックスしに来ているのに実社会に戻されるということですね。

長谷場 一番いい例はお通しだよ。店に入っただけで、払うことになる。 うちは選べるようにしている。断ってもいいという風に。 一時期なくしたんだけど、欲しがるお客さんがいるからこういう方式にした。

佐伯 確かになければないでさびしいですね

長谷場 とはいえ売り上げも上げなくてはならない。

佐伯 やはり経営だからあげなくてはいけないですよね。

長谷場 そう。だから食べたくなるお通しを作れということになる。 一般的な居酒屋ではお通しとは手抜きもいいところなんだ。

松村 知り合いの居酒屋の店長に聞かせたいな。(笑)

長谷場 うちはお客様の利益と満足を最優先にしているが、何種類もある。 非日常の刺激や、高級感などがある。 うちは学生の飲み会とは違う、和みや癒しを提供する。 それを求めるときに来ていただきたいと思うんだよ。 金額に関しても予定通りだったなと。 何とか40年生き残ってきた。 うちの業界での位置づけ。どうあるべきか? お客様の利益があるべきだ。サービス業とはそういうものだ。 その頭の整理がきっちりできているかどうか? 僕なりに徹底したことが生き残った要因だったと思う。

松村 お客様の満足度を保障するという。

長谷場 大衆店にきたときには、このくらいで済ませたいという、 ふところの予算があるわけでしょ。 それにまかせる。それに対する売りつけはしない。 プレッシャーになるし、お客様はリラックスしにきているのに、 それはマイナスになる。ということなんだよ。

松村 そこが40年やってきた要因だと。お客様との信頼関係が そこでつながっていく。

長谷場 青山って家賃が高いでしょ。ここでこういう価格で、 こういうスタンスで営業できるか?ということだと思うんだ。 ほかの店にこういうことができるかというところなんだ。

佐伯 たしかに!

松村 新宿でもむずかしいですよ!

長谷場 お客様の利益や満足を最大に優先してもらいたいということを 浸透させている。 今各店舗で中心になっている人間にはそれを伝えている。

松村 いや~びっくりしました。

長谷場 そんなにたいしたことではないんだけど。

松村 シンプルなことを40年間やってこられたということは かなりの企業努力がないとできないですよ。 その中で信頼を勝ち取ってこられたということですね。

長谷場 数店舗お店を持っている社長は、100%言うはずだ。 「昨日の売り上げはどうだった」 俺は、「昨日どういうことがあった」「お客様に対する失礼はなかったか」は とても気にするけど、売り上げはどうだったということはいわない。 なぜかというと、それをやると各店長が「売り上げ、売り上げ」ということになってしまう。 お客様にマイナスにはたらく!

佐伯 売り上げというのはとても重要な要素だと思いますが。

長谷場 それはやっぱり重要だよ。

佐伯 重要だからこそ任せていると。

長谷場 僕は大成功はできないけれど、生き残るためには最低条件だと思っている。 その裏には、食べたくなる一品、飲みたくなる一品を作る企業努力は必要だね。