天草元気プロジェクトプレゼンツ『30代市長対談』(下)


天草出身の方に成功の秘訣を聞くコーナー
『先輩!ゴチになります!!』の企画から派生し、実現した「30代市長対談」の内容を
公開させていただきます。

interview-20100531_sichou

上天草市市長 川端 祐樹氏 千葉市市長 熊谷 俊人氏

司会 天草元気プロジェクト 佐伯
公開対談日 2010/5/30
対談場所 銀座熊本館(東京都中央区)

前半はこちら

時代が人を選ぶんですよ。

我々はたまたまこういう時代に選ばれた。
<司会> 次のテーマですが、ずいぶんお話を伺えた部分もありますが、雇用という問題でお話を伺えますでしょうか。
千葉市の雇用問題についての課題やテーマなどはありますでしょうか。

<熊谷市長> やはり首都圏なので、千葉市の雇用というのは、当然、東京も含めた中での雇用になります。
ただ市民から言われるのは、地元で就職できるようにして欲しいということです。
千葉市の発展は、基本的に川崎製鉄の鉄鋼工場など、京葉コンビナート地域で発達してきたんです。

当然、日本全体の流れとして、二次産業というのは縮減しております。そうすると雇用の口というのは、
千葉市内では減っていっているんです。そうなってきた時に、どれだけ地場の企業を守り、
育成していくかというところは、我々としても非常に課題です。とは言いながら、今の財政状況からすれば、
過剰に守るわけにもいかないと。二律背反の中で、どういうふうに育てていくのか。

我々は、元気な企業の応援をしていく。そういう制度で行くと。
全員を救うのはもうできない。頑張っている企業を応援して、その人達に雇用を拡大してもらうしかないんだと。

我々は、そういった第二次産業や、内需はもう駄目ですとかではなく、内需ももちろんやるけれども、外需。
千葉市の場合は、とにかく成田空港に一番近い政令指定都市ですから、中国市場とかアメリカ市場に、
千葉市内の中小企業を、どんどん行政の力も使って、海外に売り出していく。
そういうようなことをやろうとしています。

今度、1,000万人の人口を抱えている友好都市の中国・天津市の企業誘致担当の職員を、
千葉市の企業誘致側の経済部の職員に招き入れるということをして、中国市場に乗り入れようとしています。

あと、アメリカのヒューストン市とも姉妹都市なので、千葉市の千葉大学と連携したインキュベーション、
ベンチャー育成の施設と、ヒューストン市のインキュベーション施設とが海を越えて連携するという、
初めての試みに今、挑戦をしていて、その中で医療を中心とした先端企業を、アメリカ市場に進出させる、
そういう取り組みを始めているところです。

本年度、ヒューストンに調印式に行って、千葉市・ヒューストン市間の経済交流と両市の
インキュベーション施設の相互交流に関する合意文書への調印を行います。

<司会> すごく壮大ですね。実現すると・・・

<熊谷> とにかく外需です。我々は。銀座に行ったらわかります。中国をはじめ外国の観光客ばかりです。
外国の方にどういうふうに買ってもらうかということが、経済の大きな柱の一つになってくるから、
それを真剣に考えなければいけない。

<司会> なるほど。これは九州は、当然、韓国も中国も関東よりも近いというので、
福岡などもそういう戦略というのは見えるんですけど、上天草の雇用の戦略というところは、
どういうところが・・・

<川端> 広い意味で経済の話で・・・

<司会> もしかしたら最初の話とつながってくる部分かもしれないですね。

<川端> とにかく我々の一番の課題が、過疎化であるということです。それを打破するためには、
本質的には所得と雇用なんです。それをいかに創造するかという話なんですね。
その点で、地場産業と企業誘致と、いろいろ絡んでくるんですけど、要はマーケットを
どこにもってくるかですよね。今日、私も話を聞いていてびっくりしたんだけど、我々も国内も大事ですよ。
それ以上に海外への展開が、これからは大事だなと内々で思っていて、行動もしているんですね。

特に九州というのは、地の利がいいですから、関東に行くよりも近いですから。早いんです。
上海まで1時間10分で行くんですね。
だから、上海、そして中国から・・・シンガポール、マレーシア、その先にはまたインドという・・・
東アジア広域経済圏ですね。地球の半分ですから。そこが今、日本の高度成長期のようにばーっと
立ち上がってきているわけですから、これに乗らない手はない。
特に中国の方の中では、今、日本食ブームもあるんですね。我々もそれに乗っかって食材を出して行く。

<司会> 確かに天草という地域で考えると、食というところはすごくチャンスがあると思いますね。
地球の半分ですよね、確かに。

<熊谷> だから我々は考え方を変えないと駄目ですね。

<司会> これは日本として、企業、大企業などは、当然そういったシェアを考えると思いますが、
今後、当然地方も同じように乗り出していくということで、波に乗り、シェア獲得が必要だと思いますね。

<川端> それで今考えているんですけど、海外事業本部を作って何をやろうとしているかと言うと、
水道事業を売り出そうと。下水道とか水道とか、これはそれぞれの自治体で持っているんですよ。
投資などもして来たんです。それと同じやり方で売りに行こうという。

<熊谷> 人員が余っているんです。上水道や下水道がほぼ整備されると、膨大な人員が余って、
不慣れな職務に行かざるを得ないわけです。だったらその運営ノウハウを海外に・・・ こ
れはだいぶ流行りつつあることですね。仕掛け始めている。ここ3、4年。

<司会> では、前半の最後のテーマですが、千葉市と上天草市と当然、地が違うので面白い話になるかも
しれないのですが、観光というテーマです。今、海外というところもあったと思うんですが、
観光というテーマで、やはり天草のほうが、そういうイメージがあるので川端市長から、
観光の取り組みというのをどのように考えていらっしゃいますか。

<川端> 観光は、私達にとっては一大産業なんです。だったんですというのが正解かもしれませんが。
天草は、天草五橋で九州本土とつながった時がありましたね。その当時は、何もしなくても
お客さんが来ていたんです。でも、やはり新しいことを創造して、仕掛けを創出していかないと。

皆さんが飽きられるのと一緒で、天草地域で、観光というのは下火に随分なってきています。
かわりに阿蘇や黒川などがにぎわっています。だからそれに替わる何かを我々も
作らなきゃいけない。何が大事かと言うと、ストーリーを作らないといけない。
今、仕掛けているのはストーリーづくりと、素材の見直しを、やっているところです。

素材というのは、海だったり、あるいは山であり、食であり、その見直し。
その中で今やっているのが、山登りルートの開発、環海歩きと言うんですね。
山登りしながら海がみれるんですよ。九州自然歩道に位置するんです。
これまで、せっかくそういう素材があったのに、何も仕掛けてなかったので、今、
その歩道整備をしまして、ハイキング、山登り人口を・・・。

もう一つ、クルージング事業です。クルーザーというのは、あまり乗ったことがないと思いますけれども、
天草は、実は、クルーザーをお持ちの方からすると、魅力的なようです。
クルージングをしたい方のアンケートの順位があるんですけど、1位は沖縄です。2位がなんと天草なんです。
1億円のヨットやクルーザーなどという話を聞きますが、そういうのを浮かべられる。
富裕層を呼び込む仕掛けをしていこうと。

<司会>  マーケティングとしては一つ見えますよね。

<川端> 今、中国の方が、フェリーで長崎とか博多とかにものすごい来ているんです。豪華フェリー、客船ですね。

<司会> なるほど。ストーリーづくりというところを、何となく僕らのプロジェクトでも、一番最初に
地元にある歴史のストーリーから入ったところがあったので、大事だと思います。
それでは、千葉市の観光としての取り組みの今後の課題やテーマを教えてください。

<熊谷> 観光は、千葉市もいろいろあるわけです。自然もありますし、加曽利貝塚もありますけれども、
やっぱり大自然が本当にあるところには絶対に勝てないです。

だから私達は、幕張新都心とか、近未来的な都市の魅力を感じてもらうということと、
それからマリーンズとジェフというサッカーと野球のプロスポーツチームが、同じ市内にありますから、
この魅力をどうやってセットで見てもらうか。特に海外に向けて、東京ディズニーランドが千葉、浦安に
あるわけですから、その東京ディズニーランドとかを見に来た中国人、韓国人の人達に、
どうやって立ち寄ってもらいお金を落としてもらうかということが一番大事だと思っているんです。

そうなっていった時に、千葉ロッテマリーンズ自身が、観光の事業なわけです。キム・テギュン(金泰均)
という4番打者がいます。ニューヨークヤンキースにいた松井秀喜みたいな。
そういう状態が実は千葉にはあるわけです。でも、韓国の方がマリンスタジアムにいっぱい来ているかと
いったら、全然来ていない。でも日本人は、ニューヨークに松井がいた時は、ニューヨークに行ったら
必ずついでにとセットになっていたわけです。そういうことを今までやっていなかったので、
ロッテと連携しながら、我々は、韓国の方達が東京見物、ディズニーランドに来たついでに、
パックで、キム・テギュン(金泰均)がいる千葉ロッテの試合を見て、帰ってもらうとか、
そういうものを作って行かなければいけない。

また、中国の方にしてみれば、意外と日本の観光や、快適な環境が好きだったりするので、
そういう人達に千葉に寄ってもらいたい。特に、千葉市には、ギネスブックに載っている
世界で一番長い懸垂型モノレール、いわゆる空飛ぶモノレールがありますから、
外国の人はびっくりするわけです。「おお」って。だからモノレールを単なる通勤電車にするんではなくて、
そういう観光的な要素を交えた、すごい乗り物だと、近未来的な乗り物が千葉にある、寄ってみよう、
乗ってみようと、そういうふうに思わせるような仕掛けを作って行かなくてはいけないなと思い、
モノレールの社長を公募したわけです。そういうことをやっています。

<司会> そうですね。今ちょうどその話が出たので、千葉市のモノレールの事業も相当経営が
厳しい状態だと・・・

<熊谷> 厳しいですね。

<司会> その企業の社長を公募されてというのが一時期話題になったりしましたが、
そこを踏み切るまでの話というので、どういう流れでいこうと考えていらっしゃるのか。

<熊谷> もともとモノレールって、とても地味なんです。
私にしてみれば、あんなすごい乗り物があるのにもかかわらずです。
どちらかと言うと千葉市民は、空に邪魔なやつがいると。千葉駅を降りた瞬間にいきなり上空を飛ぶし、
千葉市民の比較的多くの人達、通勤している人達には大事な足なんですけど、それ以外の人達には、
邪魔だなと。ギネスブックなのに、すごいのに、金もかかっているのに、そういう感じなわけです。

何故かと言ったら、全然、アピールしていないし、営業もPRもやっているんですけど、
所詮、はじけてない。それは何故かと言うと、トップがやっていないからです。
いくら下が頑張っても、やっぱりトップレベルが外に出ないと駄目だと思います。
今までの歴代の社長さんは誰だったかと言ったら、県の天下り、それと市の天下りで、
その人達は、はじけてはくれないわけです。

社長の仕事って、我々の仕事って、一つの象徴、シンボルです。それができてなかったので、
それをもう変えようと。これは市議会議員の時に、私は議会で質問していたんです。
モノレールの社長は公募したらどうだと。それが一つの話題になって、注目されて、そして変えようという、
社員の気構えになるから、そういう意味でも変えようということで、市長に就任してすぐに
社長の公募をして、全国に応募を出して、250人の方に来ていただきました。
それで、選考したんですけど、とてもいい方々に来ていただいて、最後は本当にどうしようかなとすごく悩んだんですけれども、非常に良い方を発掘することができたので、6月の株主総会で、
正式に就任していただいて、 新生モノレールがこれから始まったというところです。

<司会> なるほど、本当に話題になっていましたね。

<熊谷> やっぱりそれで全国にああやってニュースに出たりしたのも成功なんですね。
それだけで一気に全国にある程度知名度が上がるわけですから、あとはこれを上手く
もう一度いいイメージに転換するようなことを新社長以下でやっていただくことが必要ですね。

<司会> 今後が楽しみな一つの事業ということですね。ありがとうございます。

これで天草元気プロジェクトから用意した質問は、お聞きできました。ちょっと暗い話も続いたので、
事前に会場の方から質問をいただいていた、質問をさせていただきます。

お二人ともまだ30代でいらっしゃるんですけど、60才になられた時に、何をしていらっしゃると思われますか。
もう決めていらっしゃるのか。では川端市長から。

<川端> 60才とか想像もつかないし、人生設計というのは、この仕事じゃできないですよ。

<熊谷> 全く・・・

<川端>だから、何をやっているかと言ったら、まあ引退しているんじゃないかと思いますけどね。
僕はたぶん早期退職じゃないけれども、こうやって若くしてさせてもらった分、
ハーフリタイヤというものがあり得るのかなと思いますね。そういった意味で言うと、
60才ぐらいだとたぶん引退して、草いじり・・・

<司会> なにか天草という感じが・・・ありがとうございます。熊谷市長はいかがですか。

<熊谷> 私は、そうですね、私もたぶんリタイアしていると思います。
たぶん首長をやっていると、だいたい共通の気持ちだと思うんですけど、私の場合は、
とにかく地方自治の人達をサポートするような仕事を生涯やりたいなと思っていて、
地方自治をやったらわかるんですけど、決定的に人材が不足しているんですね。

ですから、それを何とか応援できるような体制づくりをしていきたいと思っているし、
実際、今、若くして首長をやって辞められた方の多くがそういう仕事をやられているんです。
それだけやっぱり深刻な人材不足を感じていらっしゃると思うんですね。

だから私はとにかく大学でもいいし、どんな研究機関でも、自分で作ってもいいですから、
そういう後進がどんどん出てくるような仕事に携わりたいというのと、
あとは草いじりではないですけれども、千葉市の一市民として地域活動を、市民活動をやりたい。
何故なら市民活動をと言っているわけですから、自分自身がその中に従事するということですね。

<司会> なるほど。でも共通点は、ハーフリタイアですね。
それほど身や神経を削る仕事なのかなという印象が・・・

<熊谷> 濃いといいますかね。

<川端> 私は思うんですけど、時代が人を選ぶんですよ。我々はたまたまこういう時代に選ばれたんですよ。
それは何かと言うと、やはり世の中を変えるというダイナミズムを引き込むため。

それをその通り、今、一生懸命やっているわけで、こういう時代が10年ぐらい続くかも
わからないけれども、それをとにかくやり遂げる。

やり遂げた後は、その次は何があるかわからないですけど、その次にどういう使命があるのか
わからないですけれども、もしも何かの使命があったらそれをやろうと・・・
熊谷さんは、大学などでの活動も可能でしょうし、私はそれじゃ何があるのかと言ったら、
その時になってみないとわからない・・・

<熊谷> 本当です。私もその時はまたその時、全く読めないです。今の10年後なんて本当にわからないです。

<司会> とにかく目の前の課題が山積みというのと、その時に必要とされていることをやると
いうことでしょうね。共通点があって興味深いですね。

<熊谷> こういう職業ですから。

<司会> なるほど、ありがとうございます。では、次にいただいている質問です、
川端市長、上天草への観光客の増減はどうでしょうか?

<川端> ほとんど横ばいです。

<熊谷> 逆に言えば、横ばいがすごいところもあるかと思います。

<川端> 宿泊客は少し増えたんですけどね。でも、トータルには・・・

<熊谷> 今は向かい風にあらがい続けるという、本当にそういう感じですね。必死に押しとどめるという・・・

<司会> 何もしないと落ちていくみたいな・・・

<熊谷> 衰退というとちょっと嫌なんですけど、衰退の速度を遅らせることも仕事の一つですね。
これは絶対に分かってもらえないんです。

<司会> なるほど。熊谷市長にお伺いしますが、先ほど出ていたかもしれませんが、
今後、延ばしていきたい千葉市の産業はという質問です。

<熊谷> そうですね。私のマニフェストにも掲げたのは、科学都市戦略の推進です。
千葉市は、千葉大学という医療などの分野にすごくたけた総合大学が存在しているということ。

それから放射線医学総合研究所という世界的なガン治療の、本当に最先端技術が存在しているんですよ。
日本にも2か所しかない。世界には日本を入れて、3か所しかない、そういうところがあるんですね。

他にも、京葉コンビナート地域の工場群では、最先端の技術を使っています。
そういう最先端のものが結構あるんですね。農業でも雪印種苗の全国に3か所しかない種の開発を
行っている研究農場とか、そういう機関を全部連携させて、中小企業に対しても、
そうした技術を展開させていきたいし、逆に言えば、コラボレーションで、世界に通用するベンチャーを
どんどん出して、世界に送り出していく。そのために行政の力や政治の力を使ったサポートを行っていく。
それから後は人材ですね。シリコンバレーができたのも、そこに優秀なIT人材を配置する大学が
いっぱいあったから、結果的にそこの人達が独立して企業を作ったわけです。

同じように千葉市というところで、ITとか先端科学に突出した人材が配置されるような科学教育を、
先ほど言ったような学術機関、企業に教育してもらって、教育の世界にたくさん入ってきてもらって、
千葉市を挙げてサイエンスに目覚めるような、歳を取っても何か組み立てちゃうみたいな、
そういう街に変える。科学には必ず未来があるんですね。1年後は必ず知らない技術が出てきますから。
だから日本が未来を、千葉市が未来を失わないためには、やはり科学というものにとにかく力を
入れてやっていく、それにふさわしい財産が、千葉市には恵まれていますから・・・。

<司会> なるほど。教育の分野もお聞きしたい内容でしたので、よくわかりました。ありがとうございます。

市民がハッピーで心豊かに安心して生活できる。

そんな世の中を実現するのが我々の使命。
<司会> ここで会場の皆様から何かご質問があれば、ご質問を受けてみていただきたいと思うんですが、
誰か我こそはと思われる方はいらっしゃいませんでしょうか。どうぞ。

<Q1> 今日はありがとうございました。非常に参考になりました。
今回の、今後の地方のあり方を考えるという話ですが、地方と言っても、市が、県がという立場があると思います。
我々も国民、県民、それから市区町村民という3つの役割があり、市に対しては、
我々は住民票や戸籍謄本を取りに行ったりなど、接点があると思う反面、県には、パスポートなどを
5年とか10年に1回しか取りに行かないという点で、関わりが少ないと思っています。

そういう点で県民に対して、行政コストの負担を二重に負担されている可能性はありませんか?
また、市のフットワークを軽くして様々な活動をしようとすることに対して、県があることによって
阻害要因となっているということも懸念されるのですが、今後の県と市のあり方ということに関して、
どういうふうにお考えなのかなというのをお伺いしたいと思います。

<司会> これは政令指定都市の千葉市の市長にお伺いしたいですね。

<熊谷> 千葉市は政令指定都市ですから、若干特殊なんですけれども、我々は、
県の業務を相当数、大部分やっていますから、そういう立場からも言うと、やはり県というのは、
もう少し縮小していかないといけないだろうと思っています。

それは何故かと言うと、我々市の誇りは、市民と直に接しているということです。それで逃げられない。
最後は我々がやるわけです。県のほうを見ていると、やっぱり管理行政、監督行政といったら、
国と正直言って変わらないわけです。
だから、市という現場の自治体が、どれだけ力を持って自分達で決めるかということが、日本の国にとっても、
私は一番良いことだと思っているし、政令指定都市というのは、まさにそういうことを具現化している存在で、
先行してやっている自治体だと思っていますから。

我々はとにかく県に対して、業務を渡してくれと。中間フォローしているのをやめなさいということを、
とにかく強く訴えていかないといけないと思うんですが、市民にはピンとこないんですね。

この二重行政の問題を、私はとにかく具体的に言っていて、例えば千葉では、下水道の使用料と上水道の料金を、
別々に徴収しているんですね。上水道は県がやっている。下水道は当然、市がやっている。
他の県では、全部一括して県が徴収しているんですが、千葉県はやらないんです。

そうするとどうなるかと言ったら、下水道は使用料を滞納しても止められないんです。
上水道は止められます。しかも止められると一番生活にかかわってくるので、一番払うところなんです。
普通、それが一括になっているから下水道もきちんと払うんです。
これを別々に徴収しているから、下水道の徴収というのは、非常に滞納が多い。

それから更に言えば、別々の徴収員がいて、別々の徴収システムと電子システムがありますが、
全部無駄です。上下水道一括徴収すれば、そういう経費が浮くわけですね。
上下水道が別々の請求書で来ることを、千葉市に住んでいる人、千葉県に住んでいる人は当たり前だと思っているんです。

だから私は言っているわけです。それは千葉県だけですよ、47都道府県でここだけですよ、と。
それをきちんとわかりやすく言って、今、県と交渉をしているところです。
そうやって二重行政の無駄を、やはり市民にわかりやすく伝えていかないといけないですね。

<司会> では、上天草市は。またちょっと千葉市とは状況は違うと思いますが。

<川端> まず一つ言えるのは、2000年の地方分権一括法が施行しましたよね。
それで市町村と県というのは対等なんですよ。関係で言うと対等な関係なんですよ。
ただお互いに役割分担というのが今でもありまして、やはり機能を持っていろいろな仕事を
進めているのが、現実的なところです。

ある部分、県に指導をお願いしている。あるいは調整役になってもらうというのは、今でもやっていますね。
たとえば宮崎県で話題になった口蹄疫、これは熊本にもやがて来るんじゃないかという懸念がある場合は
やはり県の指導、あるいは県の考え方に準じる、あるいはこちらから提言をかけながら、お互い付き合っていく。

ですから、県の機能というのは、やはりある部分必要なんですね。広域的に。
ただ私達は本当に市民に面と向かって、市民との対話、あるいは市民からの痛烈に批判もありますから、
だから後先ないということでちゃんと仕事をする部分はああります。しかし県の場合は、
風土がどちらかと言えば省庁に向いているんですよ。

そのベクトルの鉾先を県民にしっかり向けて、自分達は県民の仕事をするんだよということをやってくれると、
非常にいい県になるんじゃないかなと思います。

それと、もう一点言わせていただくと、地方分権の行き着く先は、道州制だと私は思っています。
道州制で起こることは、省庁解体なんです。国がやることは、外交、通貨、防衛など。、
後は国交省とか農林水産省は全部解体して、例えば九州に1つ、四国に1つというように解体していくわけです。
そうなってくると、県の役割もその中でやっぱり縮小されざるをえない。・・・

そういう地方政府と市町村が相対で財布を作って仕事をしていくと。その補完機能として
県が出張所になるような、行政スタイルが構築されるんじゃないかと。

<司会> なるほど。話の共通点にあるのは、いろいろなところを向くベクトルですよね。
広域でやるべきところは当然必要だというのもあるんですけど、先ほど、市長が政治家であり
経営者であるという、その両方のベクトルを持っているいうことでも興味深いです。

<熊谷> そうですね。地方分権の議論は、しょうがないんですけどちょっと違うなと思うのは、
「国のやっている仕事のどれを地方が出来ますか?」みたいな議論になっているわけですね。
本来はそもそも全部、市がやるんです。現場がやるんです。行政がやっている仕事を全部並べた時に、
市ができることをチョイスして、残ったものを県がやるわけです。県もやれないものを国がやるという、
逆の発想でやったら、国はスリムになるわけです。国が持っている仕事をどうやって地方に落とすかと
いう発想でやっているから、いつまでたっても、実は間違ったスタンスから考えてしまっているわけです。
本当は一回、すべて白紙にして、市側から取っていかないといけない。

<司会> なるほど、それも過激ですね。

<川端> だから申し訳ないけど、事業仕分けはいいかもしれないですけど、そんな次元の話を
するんじゃなくて、もう省庁を解体しろと、それぐらい大きな話をしてもらわないと・・・

<熊谷> 我々は市を運営する中で、国の出先機関のどの施設が無駄だとか、どういうことをやっているかとか、
わかっているんです。だから全部地方側に事業仕分けをさせれば、首長の何百人と地方議員の何万人に
事業仕分けをさせれば、毎年、毎年、すごい成果が出るわけです。それは地方もわかっているんです。

<川端>省庁を解体したら、天下りもなくなりますよ。そういうスケールの大きい仕分けをしていきたいですね。

<司会> そうですね。いいですね。地方からそういう声が、市民からもっと出るというのも当然ですよね。
なるほど、ありがとうございました。ご質問の内容はよろしかったでしょうか。

<Q1> ありがとうございます。すごく盛り上がりました。

<司会>他に何かご質問をお願いいたします。

<Q2> せっかく30代の対談なので、30代だと普通の人は、プライベートもある程度充実して、
時間も充実して、お金もあってといろいろあると思うんですけど、プライベートな時間とか、
趣味の時間とか、そういう時間はあるんですか。

<川端> さっき話したように、ほとんどないですね。休みはありますかって、ないです。ほとんどない。

<Q2> ちなみに趣味とかはあるんですか。市長になる前の・・・

<熊谷> 私は、旅行や登山、スポーツとかが趣味ですね。山は毎月1回は登っていたんですけど、
この立場になると、そうそう登れなくて、この前ようやくゴールデンウィークに1回登ったくらいです。
休みは本当に少ないんですけど、その少ない休みで、何とか山を3か月に1回くらい登っていこうと今、
思っています。本当にプライベートはだいぶない。

私なんか特殊なんですね。独身ですけど、もうどこを歩いたってみんな知っているわけです。
だからスーパーで買い物をしていても、ジョギングをしていても、「市長さん」って声を掛けられたり、
もう家から、ドアを開けた瞬間もう市長なんです。いつでもどこでも。

<Q2> なんか辛い・・・

<熊谷> もう、割り切っています。自分はそういう生き物ですから。
それは市長になった時点で、ある種の覚悟はしました。寂しいと思う時がないわけでもないですけど、
でも、むしろこの年齢でやらせてもらっていますから、それは引き替えの代償だろうという思いでやっています。

<Q2> ちなみに登山は止められないですか。周りの人に。ケガしたらどうするとか、そういうのはないんですか。

<熊谷> いや、幸いなことに止められてないです。行き先はきちんと言っていますし、
あと携帯がつながらない山には登らない。それから、無茶はしないです。
ものすごく無茶はしないように登山しています。

<川端> 僕は、市長になって良かったなと思うのは、日曜日の夕方とかに憂鬱にならないんですよ。

<熊谷> わかりますね。

<川端市長> サラリーマンの当時は、市役所の当時は、日曜日になると、明日から仕事やだなと思うんですけど、
全然思わないですね。思う必要がないというか、思えないんです。
だからとにかく四六時中、仕事に追われまして、曜日感覚もないし、それはそれでいいんですけども、
余暇が必要だとか、趣味の時間がどうしても必要だとか、そういう思いはあまりないんですね。
1日、1日働いていて、その働く中でやっぱり充実感がありますから、だから思っている以上にこの仕事は、
そうそんなにメンタル面で余暇が必要とか、プライベートがどうしても必要とか、
そういう部分はあまり感じませんね。

<熊谷> 本当に趣味みたいなところもありますよね。

<川端> 好きでないと絶対やれないですね。

<司会> 非常に言いにくいんですが、日曜日のこの時間にお二人を呼び出している時点で、
非常に大切な時間にわざわざ来ていただいて・・・

<熊谷> 私には、これは仕事ということで、そのおかげで、刺激を受けて、こうしていろいろな悩みを
共有できる市長さんと巡り会えて、いろいろなお話しができるわけですから、楽しくやっています。

<司会> 有り難いです。そう言っていただけると。
ありがとうございます。以上です。大丈夫ですか。では、他にご質問は?

<Q4>先ほどから国の政治の話もいろいろ出ていますけれども、国政選挙に出馬というものを
考えたことがあるのかどうかお聞きしたいです。

<司会> これは任期が長い川端市長から。

<川端> 任期はね。私自身が意識しているのはあまりありませんけれども、周りはやはり
意識しているでしょうね。そういう雰囲気があるのは事実です。
ただ私自身がそういう部分に踏み込むことをまだ考えてない。
今の使命、あるいはすべきことをしっかりとやり遂げたいという部分が大きいです。

<司会> それでは熊谷市長。

<熊谷市長> 私は、もともと地方政治をやりたかったんですね。
何故かと言うと、テレビに映ったりするのは国政なんです。だから、本当は先ほどから地方が大事だ、
大事だと言っても、政治についての皆さんの関心は国政だけなんですね。地方は映らない。

これを変えなければいけない。国民の意識を変えなければ駄目なんです。
だから私はとにかく地方で目立つ政治家が出て、地方が実は一番大事なんだということを
気づいてもらわない限り駄目だろうと、そういう思いでした。

国政は今だっていろいろな人達が頑張っているわけで、私がわざわざ会社員を辞めてまで
行かなくてもいいだろうという思いがありました。

地方政治でとにかく国政と渡り合って、国民とも渡り合うような、そういう政治家を作っていくんだ
という思いで、この世界に来ているから、私は実は国政には、今のところ少なくとも興味はないわけです。

ただ、先ほどおっしゃったように期待している人もいるし、それが実は、一つの政治力なんですね。
私の政治家としての力というのは、ひょっとしたら、この人は国会議員になるかもしれない、
総理大臣になるかもしれないという、そういう漠然とした将来性というものに賭けている人達もいるし、
それがあるが故に敵が少なくなるのも事実なんです。だから、それをあえて話す時に否定しすぎず、
余地を若干残しておくことも、政治家としての一つの生き方なんですね。

私はこの国を見ていて思うのは、地方政治というのは、むしろ誰でもできるわけです。
誰でもできるからすごいこと、良いことなんですね。

今は特に女性、特に働き世代の女性が、圧倒的に欠けています。
主婦層から出てくる女性の議員というのもいるし、年配の女性の議員さんというのもいるんですが、
普通の働いている女性代表の議員の方が、ものすごく少ないんです。その声は全然足りないんです。

<川端> たまたま女性の話がありましたが、これから世の中を納めるのは、ある部分、女性だと思っています。
というのは、国がこれだけ競争原理のもとで発展したんですよ。経済的には。

ただこれから必要なのは、安定さなんですね。安定さというのは、女性の視点が大事になります。
だから僕も思うんですけど、これから男女共同参画じゃないんだけれども、女性がいろいろな形で
参画するということが、これからの国づくりで必要と。

<熊谷> 男女の違いで面白いのは、男は、全員が全員ではないけど、どちらかと言うと拡大思考なんですね。
だから、大きい家買いたい、大きい車に乗りたいとか、どちらかと言うと、そういう見栄も含めて、
でっかくしたいという考え方なんです。それで日本はやってきたと思うんですけど、
これからは、でっかくならない中で、幸せをどうやって見つめて作っていくかという視点が、
成熟社会として求められてくるわけで、それは、たぶん男性よりは女性のほうが向いているところが
あるのは事実だと思います。ですから女性の視点が必要なのは事実です。

<司会> ありがとうございます。次の質問をお願いします。

<Q5>上天草出身のものです。上天草は良い点が4つとおっしゃっていましたが、悪い点はいくつかありますか。

<川端> 悪い点もかなり出てくるんですけどね、あえて言うと、やはり足の引っ張り合いというのが・・・
それと自分達のこれまでの価値観というものですね。ブレイクスルーするいうことがなかなかできない。
だから新しいことをぽんと提案すると、もう理解する前の時点での問題なんですね。

そういった点で苦労があるんですけれども、やはり視点の置き方を未来志向で、改革をしながら
明るい話題を考えながらというふうに、そういう前向きな発想をできるよう捉える。
市民の皆様にも是非、そういう形で考え、参画していただきたいです。

<司会>ありがとうございます。では、天草元気プロジェクト代表の松村からの質問です。

<松村>政治家としても結構ですし、個人としても結構なんですが、夢を一つずつ。
大きな夢、小さな夢、何でも夢を一つずつ教えていただけますか?

<熊谷> 私は政治家という道を選んだ以上、1つだけです。
30年後とか50年後とか未来に、私がいたおかげで、少しでも一人でも喜んでいる人が増えるということです。
私がこの職にあって良かったと、後で振り返られるような市政をやる、ただそれだけです。それだったら、今、石投げられたっていいよということです。

<川端> 僕は、市民のことしか考えてないですね。市民がハッピーで心豊かに安心して生活できる。
そんな世の中を実現するのが我々の使命であり夢であります。
その責任を持って今やっているんですけれども、最近、私自身ね、10年後の市民と対話している感覚を
持とうと、自分なりに努力している。

<司会>面白いですね。

<川端>そういう形で、10年スパン、20年スパンということで、いろいろ物事を考えて、
今、どういうことをやろうかと考えることを心がけています。

それは夢と話はちょっと違うかもしれないけど、そういうことです。
だから私自身は、市長として名を残すということも考えていません。

<松村> 本当にありがとうございました。

<司会> ありがとうございます。
最後になんですけれども、今日、当然来ている方々は、市民であり、国民です。
すべての自治体のひとり一人で、自立というテーマがあったんですけれども、特にこういう市民活動に
求める点というのをお伺いして終わりにしたいと思うのです。
逆に市民に求めることがあまりないのかもしれないので、お伺いしたいです。

<川端市長> なかなかこちらから求めるということは言えないところであるんですけど、
さっきからの話の中で、いろいろな意味で市民負担を求めざるを得ない時もありますよね。
それが自立というテーマになりますけども、そういう案に市民も育成するという言葉はおこがましいんですが、
意志改革、意識改革という部分でしょうか。
職員の側でも進めていますが、次のテーマとしては市民の意識改革。

<司会> 熊谷市長は。

<熊谷市長> 私もむしろサポートする側なので、望むことというのを、おこがましいなと思いながらも、
あえて恐れずに言うとすると、市民活動はサークル活動ではないということです。

よくあるのは、同じ目的で、同じような団体があるのに、こっちに今から入るのは嫌だから、
もう一個立ち上げるとか、どんどん出きたりするわけです。
しょうがないというのもあるんですけれども、やはりできれば自分と考え方の違う人、
でも目的は大きな意味で同じくする人と、連携をしていくという、大きな方向を束ねて行くということを
やらないと、ばらばらになってしまう。

そこのところはどうしても市民活動が、ある種ボランティアな分、やりたいことだけやりたいというふうに、
どうしてもなってしまうわけです。そこを若干広げて、ビジネスライクにできるかというところですね。

<司会> ありがとうございます。自分達の活動の上でも非常に参考になりました。

対談は以上で終了したいと思います。本日はどうもありがとうございました。

<全員> ありがとうございました。